教室ノート〜絵や工作が上達するためのヒント&オススメ工作など♪
8.42018
発達障がいがある不登校のお子さんの絵画指導の思い出
今回は絵画教室あとりえ・おーぱるでのお話ではありません。
私は子どもの頃から障害のある方と接することが多かったり、発達障がい児者支援のNPO法人とご縁があったり…
ってこともありまして、絵画教室とは別に、今までにたびたび発達障がいのお子さんの絵画指導を担当させていただいたことがあります。
今回は絵画教室のことじゃなくて、発達障がいで不登校だったお子さんの絵画指導をしたときの思い出です。
なんとなく、読んだ方がどう思われるかな〜…って、今まで書かなかったのですが。
人ってこんなに成長するんだなって、私にとっては勇気づけられるエピソードです(^^
もうずいぶん昔の出来事なので、思い出話としてお読みいただけると幸いです☆
※個人が判別できることは一切掲載できませんので、一部実際のことと変更しています。
※私は発達障がいの専門家と言うわけではありませんので、あくまでも絵画指導に関しての個人的な思い出、ということでご理解お願いいたしますm( _ _ )m
真新しい絵の具セットでスタート
いろいろあって学校へ通わなくなった高学年のAくん。
発達障がいと知的障害があったため、学校へ行く代わりに発達障がい児者支援機関に毎日通うことになりました。
その施設とのご縁で、週に1回1時間程度、個別の絵画指導をすることになりました。
本人が絵を描くのが好きってことで絵画指導をすることになったのですが、学校で揃えたと言う絵の具は一度も使った形跡なく…
どうせできないからって使わせてもらえなかったと言うことです(^^;
…ってわけで、真新しい水彩絵の具セットでスタートです♪
最初の作品は…
さて、そのAくんの1回目に描いた作品が下記です。
本人が描きたいものを自由に描いてもらいました。
ウルトラマンが大好きなAくん。
ウルトラマンがこだわりなのか?
ウルトラマン以外も描くのか?
でも、毎回ウルトラマンでも楽しんで描ければいいのかな〜?(笑
初代ウルトラマンから始まって、ウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラなんやら…
って思っていたのですけど、2回目に描いたのはペットのわんちゃんでした(^^
ウルトラマンはこだわりじゃなかったのですね。
ウルトラマンはその後も絵の中に登場しますが、背景の空にウルトラマンが飛んでいる、とか、ウルトラマンだけを描くことはありませんでした。
内面の成長と絵の上達
小さなお子さんの絵は発達の過程が現れると言われています。
成長に伴う絵の発達の過程は、人種や文化、言語に関わらず万国共通なのだそうです。
つまり、幼少期の絵って言うのは、個人の特徴と言うよりも脳の成長によって左右される部分が大きいと言うことですね。
2~3才でぐちゃぐちゃ描き、やがて頭から手足が生えた「頭足人」を描くようになり、だんだん描くものが人らしくなり…
もちろん、ぐちゃぐちゃ描きの中にもその子らしさは現れると思いますが、幼児期の絵の発達が脳の成長の過程であると言うことは、絵に個性が現れてくるのはある程度年齢が上がり、内面の成長があってから、ってことになりますね。
Aくんが最初に描いたウルトラマン。
とってもかわいくてほのぼのしますが、小学校高学年が描いた絵にはちょっと見えませんね。
どのような子が描いたのか知らないで見たら、幼児が描いたのかな?ってところでしょうか。
それから数ヶ月。
Aくんは学校の代わりに支援機関に通い続けました。
生活のこと、勉強のこと、運動のこと…
いろいろ厳しく指導されたこともあったと思うのですが、がんばって通い続けたAくん。
絵の指導も週1ペースで続け、
- 今まで使ったことがない絵の具の使い方を覚えたり
- 今まで描いたことがない風景を描いたり
- 紙粘土を使った工作をしたり…
その時々気分や集中力に波はありましたし、水彩絵の具を使うときなどこだわりかなって行動もありましたが、Aくんの真面目さ・素直さ・一生懸命さが功を奏し、また、日常生活や勉強の指導によっての内面の成長もあり、絵の方も着々と成長していきました。
Aくんが絵が上達した理由は…
絵が上達する秘訣はいろいろあるとは思いますが、子どもに絵を指導する上で私がまず上げるとしたら
絵を描くことが好きであること
物や風景や人物など、いろいろなものを関心を持って良く見ること
いろいろなタイプの絵をたくさん描くこと
上記3つプラス
絵の具や道具の使い方を正しく覚えること
が大事だな、と思っています。
Aくんは絵を描くことが好きなのはよくわかりました(^^
「いろいろなタイプの絵をたくさん描くこと」については、絵画指導に通うことによって、初めて描く内容、ウルトラマン以外のテーマもたくさん描く機会がありました。
「物や風景や人物など、いろいろなものを関心を持って良く見ること
に関して言えば、Aくんはもともと、自分の周囲のいろいろな物に興味や関心をもって見るタイプだったのかな、って思います(^^
支援機関に通う道々の草花や景色にも「今日は富士山が見えたね」など、たびたび話していたそうです。
また、今度どんな絵を描こうかな?
って、考えることをし始めると、家族でお出かけするときなんかも少しだけ意識するようになったようです。
「今度の日曜日○○へお出かけするんだ」とAくんが言えば
「そうなんだ!楽しみだね。じゃあ、来週は来週おでかけのときの絵を描けるようにいろいろ見てきてね」
とか
「私は◯◯行ったことないんだよね。来週どんな所だったか聞かせてね」
といった働きかけをするようにしました。
心の世界の広がりが絵に現れる
Aくんの絵画指導は数ヶ月、1回の指導は1時間程度。
…って考えると、時間的にはけして多くはなかったと思います。
Aくんが絵画指導の最後に描いたのが下記の絵です。
絵画指導での最後の作品、ってことで好きなキャラクターいろいろ登場していますが(^^
ウルトラマンやキャラクターがでてこない絵も描いていますよ。
もう「幼児の絵」って感じではないですね。
少ない時間でAくんが上達した理由は
- いろいろな絵を描くことで表現の幅が広がった
- もともとの「物を良く見る」Aくんのいい面が伸びた
- 絵の具や道具の使い方を覚えた
といった理由があると思いますが、絵だけの問題ではなくてむしろ
学校へ行かなくなったAくんが毎日支援機関に通い続けて、内面の成長があったからこそ、世界が広がったからこそ、それが絵にも現れた
ってことなのかな〜って思っています。
学校では「どうせ使えないから」って絵の具セットを一度も使ったことがなかったAくん。
本人の努力によってここまで成長するんだなぁ、って思うと、私自身勇気づけられる思い出です(^^
ちなみにAくんは進学し、しっかり学校へ通いましたよ〜。
お読みいただき、ありがとうございました☆
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