教室ノート〜絵や工作が上達するためのヒント&オススメ工作など♪

子どもが模写をする時のやり方とコツ


先日知り合いのお子さんが「学校の宿題で模写がでたんだけど、めっちゃ苦戦している」ってぼやいていました。

なんと題材はフェルメール!

「牛乳を注ぐ女」だそうです。

だけど、宿題はでているんだけど、模写のやり方はどうやら習っていないらしい…

それは苦戦するよね(^^;

っていうか、自分なりに描けばいいってことかな?

って、詳しく聞いていないので(絵画教室の子じゃないので)宿題の意図はわかりませんが、今回は子どもが模写する場合について、です(^^

※「子どもが模写する場合」ということで、私が絵画教室で子どもたちに教えるときのことをベースに書いております。

※子どもたちに学んでもらうためにそっくりに模写する技術面のみ目指しているわけではなく、大人向け、専門的な美術教育の内容とは異なる場合がありますので、ご理解の上お読みいただけたら幸いですm( _ _ )m

模写のやり方を知ろう

学校の宿題で模写がでたって子との会話

私「紙は学校で配られたの?」
Aちゃん「はい、紙と絵のコピーは配られました」
私「紙ともとの絵の比率は違うよね」
Aちゃん「?」
私「目印のマス目のこととか、教えてもらった?」
Aちゃん「??」
私「なんの目印も書かないで縦と横の比率が違う紙に模写したら、元の絵を模写の絵の縦横の比率も違っちゃうよ?先生何も言っていなかった?」
Aちゃん「紙渡されただけだけど…?」

それは難しいです。

それは苦戦するでしょう。

紙の比率やマス目(グリッド)のことは普通に「模写の仕方」「模写 コツ」とかで検索するとでてきますので、特別なことじゃないと思います。

私も学生の時に美術の時間に習ったし(^^

元の絵と縦横の比率が違う、何も目安がない白い紙に模写しようとしても、それはかなり難しいと思います。

模写の仕方ってちゃんとあります。

紙の縦横、絵の縦横の比率

模写する元の絵と描く絵の大きさは違ってもいいのですが、元の絵と模写の

「縦と横の比率」が違ったらいけません。

ですけど、元の絵と学校で配られた紙の縦横の比率が違ったら、見た目にも明らかに違えば子どもでも気がつきますが、大きな違いでなかったら気がつかない場合もあります。

っていうか、

「縦と横の比率を合わせないといけいない」

って知識がなかったら、案外渡された紙にそのまま模写しようとしちゃう場合が多いんじゃないかな〜…

それに、たとえ元の絵の比率に合わせ計算して、模写する紙のサイズを合わせるところで、じゃあ、

何を目印にどこから描けばいいのだろう??

ということで、マス目(グリッド)をひきましょう(^^

目印のマス目(グリッド)をひく

元の絵にそのまま目印の線をひいいたらダメな場合は、カラーコピーなどをしてくださいね。

で、元の絵に

「1マスの形が正方形になるように」

マス目をひきます。

マス目の数は、多ければより目印が増え、少ないと目印は少なくなります。

といって闇雲に細かいマス目を描いても紙が真っ黒になるだけなのでほどほどに。

元の絵のマス目の数と同じ数になるように

模写する紙にも正方形のマス目をひきます。

マス目の大きさは変えても大丈夫ですが、必ず「正方形」のマス目の数が同じになるようにします。

文字だと分かりづらいので、下記の図をご覧ください。


大きさが違う正方形のマス目の数が一緒なら、マス目の位置を目印に写し取ることで、大きさが違う同じ比率の絵が描けると言うわけですね。

長方形でも縦横の比率が一緒ならいいんじゃない?

まぁ、それも可能ですが、比率が一緒で大きさの違う長方形のマス目をひくのはかなり面倒ですよね(^^;

ということで、正方形のマス目をひきます。

正方形ってどんなに大きくなって正方形ですからね。

最初に全体の形を描く

さぁ、目印ができたぞ!

ってことでいきなり人物の顔を細かく描き出さないで、

最初にマス目を目印に全体の大まかな形を描きましょう。

フェルメールの「牛乳を注ぐ女」だったら、いきなり女の人の目鼻から描かないで、ここに女の人がいて、ここにテーブルがあって、窓があって、こっちは空間が広がっていて…

って、最初に全体の形を描いてみましょう。

この絵の構図が浮かび上がってきますよね。

この絵はこういう構図なんだな〜
なんでこの画家さんはここに空間を創ったのかな〜

なんて、ちょっと考えながら描いてみるととても勉強になると思います(^^

模写って絵が上達するためにすごく良い勉強になることで、絵画教室あとりえ・おーぱるでもカリキュラムに取り入れています。

子どもたちに模写してもらう場合は、そっくりに描くこと、ただ写すことに必死にならないで、

自分とは違う人が描いた、その絵の構図の意図や画家の思いを感じてもらえるといいな

と思っています。

なので、当教室の場合は、マス目を使う方法や描き方の説明はもちろんしますが、必ずしもそっくりに描くってことが目標ではありません。

最初に全体を大まかに描いてみることで、模写する絵の構図はこういう風なんだな〜って何かしら気づきがあるといいなって思います(^^

あ、下描きするときは最初から力を入れた鉛筆の線で描かないで、最初は薄い線で描きましょう。

何度も何度も描き直したり消しゴムで消したり、ってしていると、あっという間に画用紙がボロボロになります(^^;

細かい部分を下描きする

全体の形が描けたら、細かい部分も下描きします。

細かい部分を描く場合も、最初は薄い線で描いた方がいいです。

子どもたちが模写する上ではマス目の線をひいたり何度も描き直したり…で、下絵描きの段階で画用紙がボロボロになっちゃう可能性が高いです。

画用紙に描く場合は、最初から濃い線で書かないで、消しゴムで消す負担がかかりにくい薄い線で描き始めましょう。

あと、ねり消しを使うなど紙の負担を減らす工夫をしましょう。

最初に全体のおおまかな形を描く

細かい部分を描く

下描きができたら目印のマス目の線を消しましょう。

着色について

今回フェルメールの宿題がでた子は、着色は色鉛筆、と言う指定だったそうです。

フェルメールの絵は油彩ですから、水彩絵の具にしても色鉛筆にしても、そっくり同じにはならないと思います。

特に油絵の模写を色鉛筆で、ってことだったら、そっくりに描くことよりも、

「なぜこの場所にこの色なのか」

「なぜ、この画家はこの色を使ったのか?」
って、子どもたちに気づきを得てもらいたいっていうことが宿題の意図なのではないかな?と思います。

色鉛筆では油絵の具や水彩のように自由に混色できるわけではなく、また、子どもたちが持っている色鉛筆の色数にも限界がありそっくりな色を作るのは無理、と分かった上で、なるべく近い色で塗るってことでいいのかな、と思います。

水彩の絵の具の場合は混色でかなり近い色まで作れると思います。
ただ、普通の画用紙って塗り重ねに弱いので、キャンバスに油絵に描くように塗り重ねていったらボロボロになりそうですね。

また、油絵は乾くと上から塗っても溶け出しませんが、普通の水彩絵の具は耐水性ではないので、乾いてからでもあまり塗り重ねることはできません。

着色画材の指定がないのなら、アクリル絵の具を使った方が近い感じは出せると思います。

とはいえ、あとりえ。おーぱるで模写するときも、画用紙に水彩絵の具です(^^

着色の手順

着色に関しては、水彩絵の具でも色鉛筆でも、模写に限らず

薄い色、明るい色

塗ります。

油絵の場合は乾くと塗り重ねができますので、暗い色の上から明るい色を塗り重ねることができます。
ですが、色鉛筆や水彩絵の具の場合は暗い色、濃い色の上から明るい色を塗り重ねることはできないので、まずは明るい色・薄い色から塗りましょう。

ちなみに、子どもたちが使っている水彩絵の具は不透明なので、濃い色の上から明るい色を塗れなくもないです。

でも、油絵やアクリル絵の具をのように乾くと重ね塗りしても溶け出さない性質ではないので、乾いてからでも重ねぬりしているうちに下の色が溶け出したり、色が混ざり合ってきたなくなる場合があります。

なので、まずは薄い色・明るい色を塗って、だんだんと濃い色・暗い色を塗っていきましょう。

やり方を知って模写を楽しもう

直接説明するんじゃなくて文章を書くことの難しさ…

でも、下描きのマス目のことを知っただけでも、模写の難しさは軽減されたかな?

だといいな、って思います。

そもそも子どもが模写をするとき、もちろん、そっくりに描いてみた、って思うでしょうし、模写するためのやり方とかも教えるのですけど、

先ほども書いたように、他の人が描いた絵を描くことで、「自分とは違う視点に気がつく」「自分が描かないような構図で描く」「自分が使わないような配色を使ってみる」「その絵を描いた画家の考えを想像してみる」などといったことが目的であり、「そっくりに描くこと」が目的ではないからです。

絵を描く上で、とっても良い勉強になる模写。

やり方を知って「難しい」のハードルがちょっと下がると、きっとおもしろい面が見えてくると思いますよ(^^

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