教室ノート〜絵や工作が上達するためのヒント&オススメ工作など♪
3.212016
なぜ大きく描けないの?子どもが絵を大きく描くようになるには。
学校などで「絵を大きく堂々と描く」ことを指導していただくことがあると思います。
だけど、教室に通い始めてすぐには
「うちの子は大きく描きなさいって言っても、いつも小さくしか描けないんですよ…」
っていう風におっしゃる親御さんも多いです。
そこで、今日は「なんで大きく描けないの?子どもが絵を大きく描くようになるには」について書きたいと思います。
なぜ大きく描いた方が良いの?
例えば人物でも花でも、対象物が紙の真ん中にちょこんと描いてあって、まわりばっかり広く背景色の印象ばかり、という絵よりも、まったく同じ対象物が描かれていても、画用紙からはみ出んばかりに大きく描いてあると…それだけで堂々と上手に見えたりします。
それは、紙に対する対象物の大きさのバランスだったり、力強く表現されているって言う印象だったり、のびのびとした子どもらしさを評価されたり、って具合。
当絵画教室でも「主役を大きく、描きたいものが小さくてまわりばっかりにならないように」構図の説明をしています。
もちろん、ディズニーランドのまわりの様子を描きたい、ハイキングに行った山の様子を描きたい、など、描きたいものが自分を含めた周辺世界全体の場合は必然的に人物が小さくなるわけですが、その場合は、主役=その子が描きたいものが周辺世界全体と自分である、ってことでOKです。
ただ、描く本人が意図せずに「なんだか小さくなっちゃった」で、まわりはどうやって埋めよう?なんてことになったら、やっぱり良い作品にするのは難しいと思います。
大きさによる印象の違い
下記のような図は私が子どもたちに説明する時によく使うのですけど、「美味しそうにご飯を食べているところ」が表現されているのはどちらでしょうか?
パソコンで作ったイラストを拡大縮小しただけなので、大きさ以外は形も色もすべてまったく同じです。
だけど、2のイラストの方は「美味しそう」ってより「寂しそう」…ですよね?
大きく描く、というのは「自分が描きたいものを中心にしっかり描く」ということです。
たとえ「対象物の大きさ以外、形も色も全く同じに描かれていた」としても、主役がちんまりしていて背景色ばかりの絵よりも、主役を大きく描いた方が上手に見えるのです。
なんだか小さくなっちゃう、って、ちょっと(かなり?)損ですよね。
大きく描けない理由その1
大きく描けない、特に年少のお子さんの場合。
「大きく描きましょうね」って言ってるのになんでいつも小さく描くのかしら?
「大きく描きましょうね」っていうと「はーい!」なんて返事をするくせに、いつも描くものが小さくてまわりの色ばっかりなのよね。
この場合、そもそも、その紙の大きさに対してどれくらいの大きさで描けば「大きい」ってことになるのかわかっていない、って場合が多いです。
だからたとえ大人から見て全然大きく描けていなかったとしても、本人は大きく描いているつもりだったりします。
「はーい!」って返事するわけですよね?笑
大きく描けない理由その2
紙に対してどれくらいの大きさで描くと大きく描いていることになるのか、わかっているのにどうしても小さくなってしまう場合。
静物画などを描く時に、実は大人でも良くあることですが、実物より大きく描くよりも、小さく描く方が楽なんです。
この理由はわかりませんが、自分の体験または生徒さんにお教えして来た中で思ったのは、そもそも自分と対象物の間には距離があるってことかな、と思っています。
対象物よりも大きく、とまではいかないまでも、やっぱり大きく描くよりも小さく描く方がラクなので、普通に描くと小さくなってしまう、ってことがあるようです。
大きく描けるようになるには
そもそも大きいってのがどれ位をさすのかわかっていない場合。
この図のように「小さく描いた場合と大きく描いた場合の違い」を視覚的に見せます。
大きく描いた場合とそうでない場合を具体的にわかるように提示すると、子どもも「やっぱり大きくて堂々としていたほうがなんだかよく見えるなあ」と思うようです
あとは、実際に描く紙に、この紙の大きさに対して大きいってのはこれくらいだよ、と目印の線を描いて教える場合もあります。
ポイントは、言葉で「大きく描いてね」と言うだけじゃなくて、
「紙の大きさに対して大きいって言うのはこれくらいだよ」
と視覚的にわかるように説明することです。
最初に構図を決める
静物画などで、大きく描くって言うのがどれくらいか、わかっているのに小さくなってしまう場合。
部分からいきなり描き始めずに、最初に構図を決めることが大事です。
消しゴムで消さなくてもわからないくらいの薄い線で、何をどれくらいの大きさでどこに描くのか、目印を書いて決めてから描き始めるようにしましょう。
全体の配置や大きさを決めずにいきなりクマのぬいぐるみの目から描き始めたりしたら、だいぶ描き進むまで全体がどれくらいの大きさになるか描いている本人もわかりません。
描き進んでみて
あれ?気がつくとまた小さくなってる!
小さく描く方がラクなので、構図を何も決めずに描き始めれば大体は小さくなって当然なんで…
最初に何をどれくらいの大きさでどこに描くのか決めて、鉛筆の薄い線で配置を描いてから対象物を描き始めましょう。
まとめ
「子どもが絵を大きく描くようになるには。」をまとめると、
- そもそも大きいってのがどれ位をさすのかわかっていない場合は、言葉で「大きく描いてね」と言うだけじゃなくて、「紙の大きさに対して大きいって言うのはこれくらいだよ」と視覚的にわかるように説明する。
- 大きく描くって言うのがどれくらいか、わかっているのに小さくなってしまう場合は、部分からいきなり描き始めずに、最初に構図を決め、鉛筆の薄い線で配置を描いてから対象物を描き始める。ということになります。
小さい子の場合などは、教えたからすぐにできる、って場合ばかりではなく、ある程度時間とか経験が必要かもしれません。
大きい子の場合は、「大きく描く」ということについて具体的にわかるように教えることで、今までどうしても小さく描いてしまっていた子があっさり大きく描くようになったり、最初ん構図を決めることを覚えることで、自分が望んだ大きさに描くことができるようになったりします。
もちろん、なんでもかんでも大きく、ってわけじゃなくて、まわりの様子をしっかり描きたい、などの意図がある場合は、本人の考えを尊重して作品の完成を楽しみに待ちましょう(^^
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