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教室ノート〜絵や工作が上達するためのヒント&オススメ工作など♪
2.212018
小学生が使う「不透明水彩絵の具」と「透明水彩絵の具」、特徴と違い
小学生の皆さんが「水彩絵の具」というと、小学校で使っている絵の具を思い浮かべると思いますが、小学校で主に使っている絵の具は「不透明水彩絵の具」の部類に入るかと思います。
え?水彩絵の具って他にもあるの?
水彩絵の具は「不透明水彩絵の具」の他に「透明水彩絵の具」があります。
今回は「不透明水彩絵の具」と「透明水彩絵の具」の違いについて、お話ししたいと思います。
さまざまな違いや特徴がある中のほんの一部になりますが、ご参考になれば幸いです(^^
このサイトで書く内容は、私が絵画教室を運営する中で気がついたこと、個人的な考えを書いているものです。
芸術論、教育論を語る場ではないことをご了承の上、お読みください。
小学生が主に使う「不透明水彩絵の具」「学校絵の具」の特徴
小学生が使う水彩絵具というと「不透明水彩絵の具」。
正確には、子どもたちが使っている学童用の絵の具は不透明水彩絵の具とも若干違っていて、通常の不透明水彩絵具よりは透明度が高いです。
なぜかって言うと、完全に不透明だと鉛筆の輪郭線が絵の具で消されてしまい、子どもたちが鉛筆の輪郭を生かした着色ができないから、だそうです。
そこで、子どもたちが使う学童用の絵の具を「学校絵の具」と呼ぶ場合もあります。
使い方的には主に不透明水彩のように使うことが多いかと思いますので、今回は不透明水彩の特徴としてご説明します。
不透明水彩絵の具の特徴を簡単に上げると…
- 顔料の粒子が大きく粘度が高いため、強い発色で紙に定着します。
- 白い部分には白い絵の具を使う、また明るい色を作るためには白を混ぜます。
- 色を重ねても下の色が透けづらく、濃い色の上から明るい色を上塗りすることもできます。
※学校絵の具の場合は下の色が濃い色の場合、上に薄い色を塗り重ねると下の色は透けます。
また、水彩絵の具は耐水性ではないので、濃い色の上に薄い色を塗ったとき、下の絵の具が溶けて色が混ざりあったりします。 - 色を混ぜるときはパレットで混色します。
ということなどがあります。
「透明水彩絵の具」の特徴
当教室でも大人の生徒さんが好んで使う「透明水彩絵の具」。
透明水彩の色の美しさ、にじみやぼかしの多彩な表現は、小学生でも高学年くらいになってくると「使ってみたい!」なんて興味を示したりします(^^
透明水彩絵の具の特徴を簡単に上げると…
・混ぜる水の量を少なくすると色が強めに、水の量を多くすると明るい色になります。
・白絵の具を混ぜると透明度が意思なわれるのて使いません。色の濃淡を作るには加える水の量で調整します。
・パレットでも混色できますが、透明度がある為、紙に塗った絵の具が乾いた上から、色を数回重ねて塗ることで混色できます。
・暗い色の上に明るい色はのりませんので、明るい色から順に塗っていきます。白い部分は紙の白を塗り残します。
などがあります。
透明水彩と不透明水彩の違い
どちらも顔料とアラビアガムを混ぜ合わせたものですが、その比率と顔料の種類によって、透明水彩か不透明水彩かに分かれます。
透明水彩と不透明水彩を使う上で大きな違いの1つは「白い絵の具」を使うか使わないか、ではないかと思います。
透明水彩絵具は、混色で白は使わず、加える水の量で色の濃淡を作ります。
では、白はどうやって表現するの?っていうと、色を塗らずに紙の白を塗り残すことで白の表現になります。
水をたっぷり使って濃淡や、にじみやぼかしを表現することで、透明感のある美しい色合いの作品ができあがります。
不透明水彩絵具は、色の濃淡を作ったり白い部分を描くのに、白い絵の具を使います。
一度塗って乾いた濃い色の上から白などの明るい色を載せることもできますが、一度乾いた絵の具も水を加えると溶け出すので、濃い色の上から明るい色を載せるときは何度もこすったりしないように注意が必要です。
透明水彩絵の具が水の量で色の濃淡を表現するのと違って、不透明水彩絵の具は白い絵の具を混ぜることで色の濃淡を作ります。
つまり、色の薄い濃いに関わらず、絵の具液の水の分量は一定にします。
同じ絵の中で、やけに水っぽい部分があったり、べったりと濃いところがあったり…という風に絵の具に混ぜる水の量を変えるのではなく、一定の水の濃度の絵の具液で塗った方が完成がきれいで見た目にも影響が出ます。
不透明水彩絵の具でももともと白が混ざっている色(ピンクや水色など)以外は、水の量をたっぷりにして使うことで透明水彩絵の具のような透明感がある使い方もできます。
…とはいえ、もともと粘度が高い絵の具なので、その絵の具に適した使い方をした方が良いと思います。
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具、それぞれに適した紙は
子どもたちが主に使う不透明水彩絵の具は、大体一般的な画用紙を使うことが多いと思います。
当教室でも画用紙を使っていますが、100円ショップの画用紙だとかなり薄く質感的にも塗りづらいので、少し厚みがある画用紙のほうが波打ちにくいし描きやすいです。
不透明水彩絵の具は水彩絵の具よりもこってりした絵の具液で塗りますので、紙が波打ったり痛んだりしにくいですが、紙の表面が濡れた状態で何度もこするとやっぱりボロボロになってしまうので、注意が必要です。
透明水彩絵の具は水をたっぷり使う…ということは紙がふにゃふにゃに波打ちやすい、また、丈夫な紙でないと紙の表面が痛むので、安価な画用紙などではなくて専門の水彩紙を使います。
また、紙の波打ちを押さえる為に、水を使って板に貼付ける「水張り」を事前にしておくと、描きやすいし仕上がりもきれいです。
個人的にはまったく同じ絵でも、紙が波打ってヨレヨレなのとぴしっと伸びているのでは、仕上がりの見た目が全然違うと思います。
なので、水張りは面倒がらずにしたほうがいいです。
スケッチブックに描いた作品を額装した場合なんかは水張りは無理ですが、額装してある作品が額の中で波打っているのを見ると、ちょっともったいないな~って思います。
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具のパレットの使い方
絵の具は両方とも、パレットの小さなところが絵の具を出すところ、大きなところが水や他の色と混ぜるところです。
で、使い終わったパレットの洗い方ですが…
透明水彩絵の具はパレットに出した絵の具を毎回洗わずに、固まらせて使います。
私はパレットの混ぜるところ(広いところ)は色の濁りの原因になりますので、混ぜるところだけは適時洗っています。
子どもたちが使う不透明水彩絵の具は、絵の具を出すところも含めて、使うたびにパレットをきれいに洗います。
不透明水彩絵の具は粘度が高いので、洗わないでパレットで固まらせてしまうと、がびがびにくっついて落とすのが大変です!
お子さんが学校で使った絵の具をパレットに出したまま放置していて、後から洗おうとして絵の具が落ちずに散々苦労した…なんて親御さんもいるのではないでしょうか??
絵の具は固まらせずに柔らかい状態で混ぜて使うので、使うたびにチューブから新しく出して使います。
パレットに前に使った絵の具が残っていると次に使う時に思わぬ色が混ざって色が濁ったり、思い通りの色で塗れない原因になりますので、毎回使い終わったパレットはきれいに洗いましょう。
まとめ
透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具の違いの一部をご紹介しましたが、今回の内容をまとめると…
・水彩絵の具は「透明水彩の具」と「不透明水彩絵の具」があります。
・不透明水彩絵の具は、白を塗るときや混色に白い絵の具を使います。
・透明水彩絵の具は白い絵の具を使わずに、紙の白を塗り残すことで白を表現します。
・透明水彩絵の具は色の濃淡を作る時には水の量で調整します。
・透明水彩絵の具はパレットに絵の具を固まらせて使い、不透明水彩絵の具は毎回パレットをきれいに洗います。
同じ水彩絵の具と言っても、使い方や使用感、仕上がりに大きな違いがある「透明水彩絵の具」と「不透明水彩絵の具」。
今回はその特徴や違いの一部で簡単なご紹介ですが、ご参考になれば幸いです(^^
ここに書くことは、私と違ったご意見を持つお教室や先生に意を唱えるものではありません。
あくまでも今までの経験に基づく個人的な考えですので、ご了承ください。
どうぞよろしくお願いいたします♪
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